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環世界と時間2025.09.29
こんにちは。矢野です。
先にお知らせ。
夏限定メニューがスタートしています。
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アフォガート
極みコーヒー牛乳
毎週日曜日更新のラフラジ
https://anchor.fm/laughter8
今回は先日僕が行った坂本龍一の展覧会の話と今世界中で起こっているいろんな話。
ぜひ聞いてみてください。
さて最近僕が関心のある話というか興味があった話なんですが、生物学者ユクスキュルの「環世界」という考え方をご存知でしょうか。すごく簡単にいうとこれは生物にはそれぞれの世界があるということなんですが、例えばダニを例に挙げてみましょう。
森の中にいるダニは木の枝の上に登り、その近くを哺乳類が通るのをひたすら待ち、近くを通ったタイミングで飛び、皮膚から吸血をすることによって生きながらています。
しかしこれは人間の世界から見た話であってダニの世界からは全く違う見えからをしているんです。
まず木の枝というものをダニは認識していません。ダニは目も見えていないし音も聞こえていないのです。人間が認識している木の枝、森、この世界全てをダニは全く認識していないのでダニの世界には人間の世界はありません。
ダニは木を木とも思わずに登り、枝の先で哺乳類がくるのただひたすら待つ。視力も聴力もないダニがなぜ哺乳類が来たことがわかるかというと、哺乳類が発する特有の匂いを嗅ぎ分けているんです。そうダニには唯一臭覚だけが備わっている。しかもその哺乳類が発する特有の匂いを嗅ぎ分けるためだけの臭覚が。もちろんダニは哺乳類すらも認識していません。ただその匂いがすれば枝から飛び立つのです。
そして哺乳類に飛び移れるかどうかは完全に運任せ。だって目が見えていませんからね。
失敗したらまた木の枝に登ってじっと次のチャンスを待つんです。研究によると一切吸血せずに18年間生き続けていたダニもいるそう。
さらに運よく哺乳類に飛びつけたとして、頭を突っ込んで吸血するわけですが、血液かどうかもわかっていないそうです。ある研究ではダニの近くに哺乳類と同じ匂いのする人工樹皮を持ってきてその下に水をためておいたところダニはなんの疑いもなく飛びつき、水を腹一杯まで吸い込んだらしい。
つまりダニの世界には高いところに登る、匂い嗅いで飛ぶ、吸血する。この三つしか存在しない。
この三つがダニの世界の全てなのです。
先ほどそんなダニは吸血せずに18年間生きることができると言いましたが、人間はどうでしょうか。飲まず食わずではせいぜい1週間やそこらでしょう。こう考えるとダニの世界の時間と人間の世界の時間は異なる可能性か高いと言えるのではないでしょうか。
時間とは絶対的なものだと思っている人が多いかもしれませんがこの時間という物自体、人間の世界の話であり常に相対的で流動的であるといえます。
では次にそんな人間の世界、時間とはどんなものか。映画の映写機は1秒の間に18回スライドが入れ替わっています。でも映画を見ていてチカチカしていると感じたことがある人はいないでしょう?
これが人間の世界なわけです。人間は1秒間に18回分の変化にしか気づけない。
でも当然1秒間には18回以上の隙間がありますよね。
さらに面白いことに人間のあらゆる器官が18回しか知覚できないのだとか。皮膚を棒でつついたとして、高速で18分の1秒の回数で突き出した途端それはずっと押し付けられているように感じるし、1秒間に18回以上の空気振動を知覚することはできないので本来連続する音もピーと一つの音に聞こえるようになるのだとか。
つまり人間の世界は18分の1秒の中にしか存在しない。
そしてベタという生き物はこれが1秒間に30回まで知覚できるらしい。
だからベタには人間には見えない世界が見えている。その世界は一体どんなものなのか。非常に興味があるし、こうして考えるとベタにとっての1秒と人間にとっての1秒には2倍近い感覚の差がある事になる。人間の世界に2倍速で動いてる人がいたり、逆に2分の1の速度で動いている人がいると考えればどうだろう。それはその2者が知覚するこの世界は全く別物に違いない。
なんてことを考えながら最近は過ごしています。
それでは本日も美味しいコーヒーと共にお待ちしております☕️